元引きこもり恋愛を語る

 

 元引きこもりにとって、恋愛は難関である。何故なら恋愛の成就は精神の安定によってもたらされるからである。しかし、数年社会から断絶しており、寂しさに勝てない自分では異性に依存しようとしてしまう。何年もの孤独による心の穴を埋めるのは難しく、ゆっくりと社会になじみながら人との触れ合いを取り戻していくしかない。これをするには周りの支えが必要で、もしない場合はひたすら一生懸命生きることで頭の中を空っぽにし、変な感情を持たないようにするしかない。

 元引きこもりが意を決し、外に出たからと言ってその後の人生を力強く生きていくことはできるだろうか。そのような漫画みたいなことが実際に起こるのだろうか。少なくとも私はだめだった。本気で頑張ろうとすればするほど心の穴が自分を引きずり込む。どうしようもなく寂しくなってしまう。ちょっとしたことで傷つき、精神的に不安定になる。そこで他人を求め依存しようし、拒否され落ち込みまた地を這いながら上を目指し、そうして生きていくしかない。

 一人では頑張れないから異性を求め、しかし努力し自分で自分を支えられない人間は異性と付き合うことはできない。なんと寂しいことなのだろうか。誰の支えもなく一人で努力し続け、その結果やっと異性の支えを得ることができるのだ。

 気分が落ち込んでいるときは、よく生きているのが嫌になる。このままずっと一人なのかと、そんなことばかり考えて生きる意味を見失う。それでも前に進むしかない。一生に一度ぐらいは、人のぬくもりを知りたい。


投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ:

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です